
2025年秋──物価上昇が止まらない。 スーパーの牛乳は1Lで230円、卵は300円台、ガソリンもリッター180円近く。 そして、日銀は再び金融政策の舵取りを迫られています。
ファイナンシャルプランナー(FP)として、数百世帯の家計を見てきた立場から言えるのは、
「このインフレ局面は一時的ではない」ということ。 「金利上昇」「円安」「賃金上昇」の3つが同時に動くいま、 家計と資産運用の両面で“守り”と“攻め”の判断が問われています。
このブログでわかること
- 2025年秋時点のインフレ動向と日銀政策の現状
- 物価上昇が家計・投資・住宅ローンに与える影響
- FPが実践している「インフレに強い資産配分」
- これからの1年で“守るべき資産”と“増やす資産”の見極め方
1. 2025年秋の日本経済を読み解く|“構造的インフレ”が続く理由
総務省の最新データ(2025年9月)によると、消費者物価指数(CPI)は前年比+3.2%。 一方、賃金上昇率は+2.8%。 「名目では上がっているが、実質賃金はマイナス圏」という構図が続いています。
FP目線で見ると、物価上昇の背景は単なる円安ではありません。 ・エネルギー価格の高止まり(原油・LNGの再上昇) ・賃上げ+人手不足によるサービス価格の上昇 ・インバウンド消費による「都市部物価の押し上げ」
この3つが重なり、“構造的なインフレ”が形成されつつあります。
2. 日銀の政策転換が家計に与える3つのインパクト
日銀は2025年7月に、長期金利の誘導目標を「1.0% → 1.25%」へ引き上げました。 これは「実質利上げ」と呼べる動きで、今後の資産形成に大きく影響します。
① 住宅ローン金利の上昇
変動型金利の平均は、0.475%→0.675%へ上昇。 3,000万円の住宅ローンの場合、月の返済額が約3,200円増。 年間では約4万円、30年で120万円以上の負担増です。
② 預金金利の“微増”とインフレ負け
大手銀行の定期預金金利は0.3%前後に上昇しましたが、 インフレ率3%の環境では、実質利回りはマイナス2.7%。 「預金しているだけで目減りする」時代です。
③ 株式・債券・為替の“三すくみ”構造
金利上昇は債券価格を下げ、株式市場には重し。 一方で、米国との金利差縮小は円高方向(1ドル=140円台前半)へ動きつつあります。
つまり、円高による外貨資産の目減りにも注意が必要な局面です。
3. FPが提案する「インフレに強い資産配分」
インフレ局面では、現金・預金の価値が下がる一方で、 「実物資産」や「成長資産」の価値は上がります。
FPとして推奨しているバランスは以下の通り。
| 資産カテゴリー | 比率の目安 | 理由・目的 |
|---|---|---|
| 現金・普通預金 | 15〜20% | 生活防衛資金として確保 |
| インデックス株式(国内・先進国) | 40〜45% | インフレ+成長を取りに行くコア資産 |
| 高配当株・REIT(不動産投信) | 15〜20% | インカム収入+物価連動効果 |
| 外貨建て資産(米ドルMMF・外債など) | 10〜15% | 円安ヘッジ+分散効果 |
| 金・コモディティ | 5% | 有事・インフレ対策 |
特に2025年のように「金利上昇+円高+物価高」が重なる局面では、 国内株の中でもディフェンシブセクター(電力・通信・インフラ)が有効です。
4. FP実践例|我が家の“インフレ対応ポートフォリオ”
FPとしてだけでなく、一家の家計責任者として私が実践しているのは次の構成です。
- つみたてNISA(全世界株式インデックス):月6万円
- 日本高配当株(商社・通信・銀行など):年40万円
- 金(GOLD ETF・純金積立):月5,000円
- 外貨MMF(米ドル建て):年20万円分
- 現金・定期預金:生活費6か月分
このポートフォリオで、実質利回り3〜4%+インフレ耐性を維持しています。
FPの視点で重要なのは、 「値上がりを狙う投資」ではなく、 「実質価値を減らさない構造」を作ること。 つまり、“防衛的な資産運用”が主軸です。
5. 2025年後半〜2026年のシナリオを読む
今後の見通しとして、FPの間で議論されているシナリオは3つあります。
- シナリオA:インフレ持続+緩やかな金利上昇(ベースシナリオ)
- シナリオB:海外景気悪化→円高+株安(ディフェンシブ重視)
- シナリオC:景気過熱→日銀利上げ加速(債券価格下落リスク)
FP的には、2025年後半〜2026年前半は「資産再配分期」と位置づけています。 投資先を変えるよりも、リスクバランスを再調整するタイミングです。
まとめ|インフレ時代を“怖がらず、準備する”
インフレは「敵」ではありません。 対策を取れば、むしろお金の知識がリターンになる時代です。
FPとして言えるのは、 ・現金に偏りすぎない ・生活費を固定化せず柔軟に ・投資の目的を「守る」に切り替える この3つを意識するだけで、資産防衛は十分に機能します。
2025年秋、マネー環境は大きく動いています。 あなたの家計も、次の一手を考える時期かもしれません。
